2021年6月8日、Instagramの事業責任者であるAdam Mosseri氏が”Instagramの仕組みを解き明かす”としてインスタグラムのアルゴリズムについても触れた見解を公式に発表しました。その背景には、インスタグラムを安心してユーザーには使っていってもらいたいという点と、シャドウバンなど一部のユーザーから非難が挙がっている件を払拭したいというのが読み取れます。
インスタグラム アルゴリズムに関して
様々な場所で話題に上がってきたインスタグラムのアルゴリズムについてですが、Instagramの公式見解として話が触れられました。以下のようなアルゴリズムに対する推測ポイントなどはよく聞かれたことがあると思います。
・滞在時間が長い方が評価が高い
・保存数が多いものは評価が高い
・投稿後の初動が大事
Adam Mosseri氏は、インスタグラムには様々なアルゴリズム、分類機能、プロセスが使われているとして、明確なアルゴリズムが存在する事と、アルゴリズムだけでなく、様々な要素をもってインスタグラムをサービスとして成り立たせていることを伝えています。
1番のポイントが、様々なテクノロジーを利用して個々の利用者のエクスペリエンスをパーソナライズすることを重要視しているとされています。広告だけでなく、オーガニック投稿においてもパーソナライズを深めていっている事が推測されます。Googleもパーソナライズド検索などをリリースしていましたが、個人が使うサービスはこの” パーソナライズ”というポイントがあるかで、満足度は大きく変わってきます。
Facebook社がインスタグラムにおいて提唱している”ブランドとの偶発的な出会いを創出する”といった事から考えて、インスタグラムにおける個々のユーザーに対して、それぞれパーソナライズされた情報(ブランドアカウント)を表示させていく事がわかります。
中でも、注目したい箇所は以下のところです。
2010年にリリースした当初のInstagramでは、単一の写真ストリームが時系列で表示されていました。利用者が多くなりシェアされるコンテンツも増えると、ほとんどの皆さまは、すべてのコンテンツどころか、見たい投稿すら全部はチェックできなくなりました。2016年には、見られずに終わったフィードの投稿の割合は70%に達しました。その中では、親しい人の投稿についても、半分近くが見逃されていました。このような状況を踏まえ、利用者の関心に基づいて投稿をランク付けするフィードを開発して導入したのです。
利用者の関心に基づいて投稿をランク付けするフィードを開発して導入
投稿がユーザーの関心度合いに対するランク付け機能として存在するという事です。
そして、フィードだけでなく”発見”や”ストーリーズ”でも異なったランク付け機能があるということにも触れられています。
・ストーリーズ投稿は親しい友達の投稿を見るためによく利用される
・[発見]タブは新しいものを求めて利用される傾向がある
フィード、ストーリーズ、発見、ハッシュタグ検索、リール、IGTVなどそれぞれの機能において、インスタグラムユーザーの使うシーンやニーズを想定することが、それぞれの機能からのランク付けを高める上で重要なポイントだと思います。改めてそれぞれの機能におけるコンテンツテーマの重要性を考えさせられました。
インスタグラムの仕組み| ステップ
上記で述べたランク付けにおいては、いくつかのステップで構成されていると説明されています。1st ステップ
初めのステップとして、上位にランクするコンテンツが定義されます。
フィード、ストーリーズについては、フォロワーのシェアした最近の投稿が該当するようです。インスタグラム広告のような例外も多少ありますが、インスタグラムで自動的に表示される大半が、自分がフォローしている人がシェアしたコンテンツが表示されています。
2ndステップ
2つ目のステップとして、投稿、その投稿者、インスタグラムユーザーの好みに関するあらゆる情報を収集しているそうです。このような情報を「シグナル」と呼び、インスタグラムには、数千個のシグナルが存在しているとのことです。
・投稿がシェアされた時刻
・利用者がスマートフォンとPCのどちらを利用しているか
・どのくらい頻繁で動画に「いいね!」するか
それでは公式に発表されているフィードとストーリーズで使用される重要なシグナルを、以下に転載いたします。
- 投稿に関する情報。これには、投稿の人気度と、投稿に関する一般的な情報が含まれます。人気度は何人がその投稿に「いいね!」したかなどを含み、一般的な情報は投稿日時、動画投稿の場合はその長さ、投稿が関連付けられた地域などです。
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エンゲージメントも大事ですが、投稿日時、動画であれば動画の長さもシグナルとして入っていますね。また、重要なのは関連付けされた地域もシグナルに入っていること。これはインスタグラムの地図検索機能にも影響してくるポイントだと思います。 - 投稿者に関する情報。投稿者に対するあなたの関心の度合いを表すシグナルです。直近の数週間で、あなたとその投稿者との間に何回やり取りがあったかなどが含まれます。
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フォロワーからのエンゲージメント獲得頻度、DMでのやりとりなどシグナルとして入っていますね。フォロワーと積極的にコニュニケーションを取ることが大事です。推測ですが、ストーリーズにおけるアンケート回答などもこのやり取りに含まれるのではないかと考えています。 - あなたのアクティビティ。あなたが関心を持つ可能性があるものがわかります。あなたが「いいね!」した投稿数などが含まれます。
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こちらはインスタグラムユーザー視点でのシグナルですね。 - あなたと特定の利用者とのやり取りの履歴。あなたが、特定の利用者の投稿にどれくらい興味を持っているかがわかります。これには、相手の投稿にコメントしたかどうかなどが含まれます。
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こちらもインスタグラムユーザー視点でのシグナルです。
こうした情報に基づいて、予測のセットが作成され、投稿に対するさまざまなアクションの可能性をこのシグナルに基づいて予測しているとの事です。この予測のセットは数十個ほど作成されるようです。
インスタグラム|フィードで重要視される5つのアクション
フィードで重要視されるアクションは5つあるとされています。具体的には、以下の通りです。
・投稿に数秒間の時間を費やす
・投稿にコメントする
・投稿に「いいね!」する
・投稿を保存する
・投稿者のプロフィール写真をタップする
投稿者のプロフィール写真をタップするというアクションはさすがに弊社も重要視しておりませんでした。
自身の投稿について、特定のアクションを起こす可能性が高く、さらにそのアクションの重み付けが大きい場合、その投稿は特定ユーザーのフィードに表示される可能性が高くなります。このシグナルと予測は時間の経過とともに削除または追加されるようです。
インスタグラム|「発見」タブのランク付け
[発見]タブは、今までに馴染みのなかった全く新しいものと、出会えるようにするための機能です。「発見」タブに表示されるものは、インスタグラムユーザーのためにInstagramが探し出した、おすすめの写真や動画です。そのため、表示されるものの大半がフォローしているアカウントのコンテンツで占められるフィードやストーリーズとは大きく異なっています。ここでもステップが存在しています。投稿に対するランク付けが最初にあります。
1stステップ
利用者が興味を持ちそうな写真や動画を見つけるために、その人が過去に行ったアクションを収集しています。
・「いいね!」した投稿
・保存
・コメントした投稿
<公式から例を転載します>
例えば、あなたが最近、サンフランシスコでダンプリングを作っている、シェフのCathay Biさん(@dumplingclubsf)のいくつかの写真に「いいね!」したとしましょう。Instagramは、Cathayさんの写真に「いいね!」した他の利用者を調べ、そうした人びとが他に興味を持っていることを調べます。すると、彼女に「いいね!」した人は、サンフランシスコの点心レストラン@dragonbeauxにも関心があることがわかりました。この場合、あなたが次回、[発見]タブを開くと、@dragonbeauxの写真や動画が表示されるかもしれないというわけです。ここからわかるのは、あなたがダンプリングに関心を示した場合、関連トピックである餃子や点心に関する投稿が表示される可能性があることです。ただし、Instagramはそれらの写真の内容を必ずしも理解しているわけではないのです。
「発見」タブにおいても、インスタグラムユーザーが興味を持つ可能性がある複数の写真や動画を見つけると、フィードやストーリーズでのランク付けと同じように、利用者の興味の度合いを予測してランク付けされます。ここでも予測アクションが登場します。「いいね!」や投稿の保存・シェアなど[発見]タブでの予測で重視されるアクションを下記に転載いたします。
- 投稿に関する情報。投稿の人気度を測ります。どれだけ多くの利用者が、どれだけ素早く投稿に「いいね!」またはコメントしたか、あるいは投稿をシェアまたは保存したか、などがシグナルとなります。[発見]タブでは、こうしたシグナルは、フィードやストーリーズの場合よりもはるかに重視されます。
- あなたと投稿者とのやり取りの履歴。ほとんどの場合、[発見]タブに表示されるのは知らない人の投稿です。ただし、ある投稿者と過去にやり取りがあった場合、そのことが、その投稿者の投稿に対するあなたの興味を推し量る判断材料になることがあります。
- あなたのアクティビティ。あなたがそれまでどのような投稿に「いいね!」、保存、コメントといったアクションを取ってきたかや、[発見]タブの投稿にどのような反応を示したか、などのシグナルが含まれます。
- 投稿者に関する情報。直近の数週間で、その投稿者と他の利用者との間に何回やり取りがあったかなどのシグナルが含まれます。魅力的なコンテンツを投稿している人を、多種多様な投稿者の中から探し出すのに役立ちます。
ステップで前述している部分と重複するので、それぞれの箇所に対するコメントは割愛いたしますが、同様にアクションを汲み取って投稿コンテンツを作成する事が大事ですね。
インスタグラム|リールのランク付け
これまで、フィードや「発見」タブに関して読み解いてきましたが、次はリールにも存在するランク付けを読み解きたいと思います。
リールの目的は、動画を見て楽しんでもらうことであり、[発見]タブと同様に、リールで目にする投稿のほとんどは、フォローしていないアカウントによる投稿コンテンツです。そのため、リールでは、[発見]タブと似たプロセスで、利用者が気に入りそうなリールを収集し、予測した興味の度合いに基づいてランク付けしているとの事です。
1番のポイントは、リールの場合は「楽しさ」が特に重視されるようです。楽しさってなんだろうって話ですが、Instagramが特定のリールを「楽しい」または「面白い」と感じるかを調査して情報を収集しているようです。そのため、Instagramは利用者が楽しめるリールを定義付けしているので、「楽しいリール」という定義を作っているのだと思います。一定の定義があるため、音楽はついていた方が楽しいとか、そのようなものだと思います。
また、フォロワー数はあまり関係ないようなので少ないフォロワーアカウントでも十分にリールでは多くのユーザーに接触してもらうチャンスがあるという事です。
リールの重要な指標として以下を意識して作りましょう。
・リールを最後まで見る
・「いいね!」される
・「楽しかった」または「面白かった」とコメントされる
・音源ページに移動する(自分のリールを作ってみたいという刺激を受けたことを意味します)などのアクションを狙う。
重要視されるアクションを転載いたします。
あなたのアクティビティ。あなたが最近「いいね!」またはコメントをしたり、アクションをとったりしたリールを調べます。これらのシグナルを参考に、あなたとの関連性が高そうなコンテンツを把握します。
あなたと投稿者とのやり取りの履歴。[発見]タブの場合と同様、表示されるのは知らない人が作成した動画です。ただし、ある投稿者と過去にやり取りがあった場合、そのことが、その投稿者の投稿に対するあなたの興味を推し量る判断材料になることがあります。
リールに関する情報。動画内のコンテンツに関するシグナルです。解像度やフレームレートなどの動画に関する情報、音源、人気などが含まれます。
投稿者に関する情報。投稿者の人気度は、魅力的なコンテンツを投稿している人を多種多様な投稿者の中から探し出し、あらゆる人にオーディエンスを見つけるチャンスを提供するのに役立ちます。
Instagramが公式に発表したインスタグラムの仕組みに関して、読み解いてみましたが、大事なポイントは一貫していると感じました。企業アカウントは、このインスタグラムの特性や仕組みを十分に理解し、インスタグラムユーザーの体験価値を考慮した上で、自社ブランドとどのように付き合って頂けるのかを設計する必要があります。
弊社では、インスタグラムを起点としたブランドマーケティングを最大化する支援を行っております。
そのブランドに合わせたインスタグラムマーケティングやインスタグラム運用にて、マーケティングプロセスを新たに構築させて頂きますので、お気軽にご相談ください。